はじめに

この記事は、令和2年4月3日に開催された『活性壱岐!討論会2020』(主催:活性壱岐!討論会2020実行委員会)の壱岐市ケーブルテレビ4月4日放送の音声から第1部を文字起こししたものです。

司会者の発言については一部割愛や読みやすい形への修正、登壇者の発言についてはほぼ音声そのままを掲載しております。誤字脱字等はご容赦願います。

壱岐市ケーブルテレビでの4月4日放送を見ることができなかった有権者の方の参考になればと思い、掲載しております。特定の候補者を応援するものではございません。なお、第二部の掲載予定はありません。


活性壱岐!討論会2020(第1部)

司会:

今日は4月12日が投票日の壱岐市長選に向けて、こちらのお二方をお招きし、『活性壱岐!討論会2020』を開催いたします。

まず、お二方に簡単に自己紹介をしていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。自己紹介の順番は席順で、まず森さんから自己紹介をお願い致します

森しゅんすけ氏:

まず、最初にお礼を言わせてください。今回、こうした公開討論会の機会を作ってくださった実行委員会の皆様、壱岐ケーブルテレビ、壱岐FM、また、公務ご多忙の中ご参加くださった白川市長、そして、今、テレビの前で討論会を見るために時間を割いていただいているあなたに、厚く感謝申し上げます。どうもありがとうございます。

森しゅんすけと申します。テレビをご覧の皆様には初めましての方もいらっしゃると思います。私は、昭和59年5月5日生まれで、神奈川県の相模原市で生まれました。私は結婚をきっかけに、自然が豊かな場所、人とのつながりが豊かな場所で子育てをしたいと思い、3年前に妻と二人で壱岐に移住してきました。一昨年、品川病院で娘を授かりました。壱岐をもっと良くするためにできることはたくさんあると思っています。精一杯討論させて頂きますので、よろしくお願いいたします。

司会:

はい。次に白川さんお願い致します。

白川博一氏:

本日はこういう討論会を開催いただき、誠にありがとうございます。私は白川博一と申します。1950年生まれ、69才であります。1969年に壱岐高校を卒業いたしまして、芦辺町役場に奉職をいたしました。以来、役場の仕事をずっとしてきたわけでございますけれども、2003年に芦辺町長に立候補いたしまして、当選をいたしました。10ヶ月の芦辺町長を経て、2004年に壱岐市長選挙に出馬いたしましたが、落選をいたしました。

2008年に壱岐市長に初当選いたしまして、現在、3期目でございます。これまで壱岐市をどうしたら良くするか、壱岐市のために一生懸命に走り抜いてきました。今からも壱岐市の未来のために、一生懸命頑張ってまいります。

司会:

第一部は、私たち実行委員会が事前に提示したテーマに対して、お二方よりお答え頂きたいと思っております。

第一部のテーマは大きく4つ。第一部の第1テーマの人口減少対策については、さらに4つに分けておりますので、お考えを述べて頂きたいテーマは全部で7つということになります。

第一部の最初のテーマは「人口減少対策」です。この「人口減少対策」ついてはテーマ4つに対して、それぞれ1つずつ発言していただきたいと思います。壱岐の人口は、現在26,400人ですが、2040年には18,600人になると長崎県の試算がでております。

私たちの生活や経済活動に大きく影響してくると思われます。そこで、国境離島法を活用した雇用拡大やIターン、 U ターンの推進についてどのようなお考えでしょうか。

白川博一氏:

人口減少問題につきましては、壱岐市の最大の課題として、これまで懸命に取り組んでまいりました。1955年(昭和30年)が壱岐市の人口のピークでございまして、51,765人であります。ですから、今辛うじて半分を維持しているという段階であります。

人口の減少の原因は二つございます。まず、自然減。これは死亡者数と出生数の差でございますが、昨年の例を取りますと、亡くなった方が420人。生まれてきた子が181人ですから、231人が自然減ということになります。

また、もう一つは社会減であります。転出した人と、転入した人の差ですけれども、この社会減を止めるためにできたのが有人国境離島法であります。この法律では、社会減を止めるために4つの施策が唱えられております。

第1番目には、皆さまが今、島民カードで利用なさっている船賃、あるいは、航空機を安くするということであります。2つ目には、物資の海上輸送費を安くする。3番目には、観光振興を図る、ということでございますが、4番目に一番大きな雇用の拡大を図って、新規就業者やUIターン者を増やすものであります。

壱岐市におきましては、これまで新しい会社ができたり、事業を拡大したりということで3年間で161名の雇用が生まれております。この国境離島法の効果は顕著に表れておりまして、法施行前の平成28年に社会減が233人でございましたけれども、平成29年には111名、そして30年には124名、そして、昨年は82名と150名あまりの改善をいたしました。

ただ、五島市が33人の社会増を達成し、先を越されてしまいました。五島市に拍手を送りますと同時に、負けられないという気持ちが募っております。今後は長崎県UIターン支援センターとマッチング等をいたしまして、ぜひ社会増に持ってきたいと思っております。

また、今年は東京事務所も開設いたしました。東京からもUIターンを募るために、独自の、単独での移住相談会を実施をすることといたしているところであります。

司会:

続いて、森さん、お願いします。

森しゅんすけ氏:

私はこれまで仕事で、国境離島新法に携わってきました。実態については詳しい自信があります。国境離島新法を活用した雇用の拡大、 I ターン、U ターン推進には大きな可能性があると考えています。

実際、国境離島新法を利用して、先ほど白川市長もおっしゃいましたが、同じ長崎県の離島である五島では、2019年に人口の社会増を達成しています。まったく同じ制度があるのに壱岐と五島でなぜ違いがあるのか。

その違いは、壱岐ではこの制度を島内の事業者が利用していることがほとんどです。五島では、島外の方が移住とセットで利用しています。それによって人口が増えています。今日の壱岐新報で、先ほども白川市長がご答弁されましたが、白川市長は国境離島新法によって161人の雇用を確保したと回答されておりましたが、この161人につきましては、新規の雇用ではなく、すでに島内で働いていた人が働く場所を変えただけのものが大部分となっています。

従って、実際に人口に対する影響はあまりありません。この161人という数字に限りませんが、市役所の近くで働いてきた中で、情報が都合よく切り取られていると感じることがたくさんありました。大切なのは実態がどうなのかということだと思っています。実態を見誤ると打ち手を間違えるからです。

この場合は、国境離島新法によって、161人の雇用が生まれ、人口が増えたと勘違いさせる伝え方になっていますが、実際にはこのまま同じ方法を続けても、人口はあまり増えず、極端に言うと、島内で転職が増えるだけ、という状況になります。

大切なことは、島外に向けて、壱岐に国境離島新法という便利な補助制度があること、それを知ってもらうための宣伝です。私は経営者として、移住してくる前に東京で二つ会社を経営してきました。その中で、これまで2,000回以上、テレビや新聞・雑誌などのメディアに取り上げて貰ってきました。宣伝に関しては得意分野だと思っています。国境離島新法を活用することで、雇用拡大や I ターン、 U ターンを推進することは大いに可能性があると考えています。

司会:

続いてのテーマ「働く場所の創設」としまして、企業や公共団体、学校誘致の取り組みについてどのようなお考えでしょうか?まず、森さんからお願いいたします。

森しゅんすけ氏:

人口減少対策として、働く場所を作ることはとても大切です。まず、企業誘致についてですが、壱岐には交通の利便性が低いという不利な要素はありますが、場所を問わず働くことのできる IT 企業は世の中にたくさんあります。また、今回の新型コロナウイルス感染拡大に伴って、日本中で在宅勤務を基本とするテレワークが普及しています。こうした社会情勢の変化を捉えながら、まずは私が東京で仕事をしていた時の繋がりを生かし、IT企業を中心に誘致を働きかけたいと思っています。

IT企業の誘致に関して、これまではインターネットの速度が大きな問題となっていましたが、4月からは指定管理者が変わりました。それによって、ネットの速度が改善されたことも追い風になっていると考えています。豊かな自然環境や家賃の安さ、それに加えて、ネットの環境も揃っているため、誘致できる可能性は十分にあると考えています。また、壱岐では仕事がないという声もよく耳にしますが、その一方で、壱岐にはすでに人手不足の仕事もたくさんあります。

例えば、看護師や介護士、農業、漁業関連の仕事などです。特に、医療分野に関しては、資格を持っている人材がいたら、病院間で取り合いになるほど人が足りていません。そういった人手不足、後継者不足となっている分野で働いてくれる人を増やしていくための取り組みも必要です。

そこで、壱岐商業高校に看護科、農業科、水産科を作り、卒業した後、仕事にスムーズに就くことができるようにすることで、若い人たちが高校を卒業した後、仕事探しに困らず、壱岐に残りやすい環境を作りたいと思っています。若手の人口流出問題や壱岐医療人材不足、また、農水産業の後継者問題の解決にもつながります。

学校誘致に関しては、通信制高校の現地授業の場所として、壱岐を利用してもらうことができるようある学校と話を進めています。すでに実現のメドが立っています。

こうした今までにない取り組みを積極的に進めていきたいと考えています。また、現状では求人情報がうまく届いていない印象があります。今、壱岐にはハローワークしかないので、新たに民間企業と連携した求人サイトの活用を強化していきます。また、農業、漁業の六次産業化をサポートすることで、新たな雇用と現金収入を産み出すこともできると考えています。

司会:

続いて、白川さん、お願いいたします。

白川博一氏:

人口減少対策には雇用の確保が最も有効と考えておりまして、企業誘致にも力を入れてまいりました。平成16年、壱岐市が誕生してから今日まで、コールセンターを始め、11社を誘致し、130人の雇用が生まれております。有人国境離島法が施行されてからの3年間では、9社32名の雇用となっており、今年中にさらに2社5名の誘致を予定しております。

直近では、昨年、東京に本社を置く2社が壱岐進出となりました。1社はバッグの製作デザインを手がけている会社と、もう1社は様々な製品のコンピュータ解析を専門に実施されている会社です。

壱岐市は光ファイバー網を整備したことによって、他に先駆けて、テレワークセンターを開設いたしましたが、富士ゼロックスを始め、様々な IT企業、情報関連企業がテレワークセンターを足がかりに進出しております。このような会社の進出によって、職業選択の幅が広がり、雇用増につながると考えますので、色んな分野の企業を誘致できればと考えております。

学校誘致につきましては、離島として、佐渡に引き続き、2番目となる介護福祉専門学校の誘致ができました。実は、もう10年も前になりますけれども、看護師養成の学校の誘致に奔走いたしました。生徒の確保等の見込みがつかず、断念した経緯がございますが、今、こころ医療福祉専門学校でおわかりのように、学校の誘致は島外からの生徒の転入、および、島の活性化に大いに寄与いたします。現在、こころ医療専門学校の外国からの生徒さんは、長崎の日本語学校で学んでから、壱岐にみえています。ですから、壱岐には、日本語学校を是非、とお願いをしているところでございます。

また、昨年は新たな事業者を市外から誘致するため、福岡市において、国境離島新法の説明会を実施いたしました。令和2年度以降も継続して実施することといたしております。併せて、人口減少対策や労働力確保の観点から、新規高卒者、あるいは、UIターン者に地元就職を薦めるために、1年後でございますけれども、高校卒業者には10万円、U I ターン者には7万円のお祝いを出しているところでございまして、地元の子どもを採用していただいた企業にも年間24万円の助成をしているところでございます。

司会:

続いて、「人口減少対策」の3番目のテーマに移りたいと思います。3番目のテーマは、結婚、出産、子育て、教育のしやすい島になることを私たちも期待しておりますが、妊活支援のための市の補助金の創設ですとか、例えば、こども園のこれからの拡充について、どのようなお考えでしょうか。森さんの方からお願いいたします。

森しゅんすけ氏:

私は、子どもや教育への投資が最も人口と経済に良い効果があると考えています。例えば、教育に力を入れたことによって、北海道の東川町という町が、人口6,000人台から、8,000人台まで増えたという事例があります。私はその取り組みを学ぶために、実際に東川町まで視察にも行きました。公立の小学校教育に非常に力を入れていて、この小学校で学ばせたいとわざわざ多くの家族が移住をしていました。

壱岐市は、これまで人口減少対策として、島外から高齢者の方を壱岐に移住させてくる高齢者移住に力を入れ、福岡の会社にかなりのお金をお支払って取り組んできました。多くのお金と人を投入しましたが。残念ながら、恐らく1人も移住していないのが現実です。費用対効果が非常に悪い取り組みだったと思っています。

私は、子育て、教育のしやすい壱岐島を目指すことで、小学生以下の子どもがいる家族の移住に取り組んでいきたいと考えています。なぜ、小学生以下に狙いを絞ってるかと言いますと、多くの親御さんは子どもをいい大学に入れたいと思う一方で、子どもが小さい頃は自然が豊かで、人の繋がりが豊かなところで育てたいと思っているからです。

自分自身もそう考えて壱岐に移住してきましたし、実際に住んでみて、壱岐は自然が豊かで人の繋がりも豊かで、子育てをするのに最高な所だと実感しています。壱岐の強みをさらに生かすために、小さい子どもの教育環境や遊び場の整備、子どもを預ける場所、子ども園の拡充も大切です。

働きたいけれど、子どもは預けられないというお母さんをゼロにします。また、エアコンの利用条件がまちまちで、子どもが極寒の中、授業を受けているという声も聞きます。快適な温度と学習効率には深い関係性がありますので、改善していきたいと思います。細いように思えますが、大切な事。それらのことを市民の皆様からきちんと声を聞かせて頂きながら、改善していきます。私自身も一人の娘を持つ、一人の親として、当事者目線を持って、子育て、教育のしやすい壱岐島を目指していきたいと考えています。

司会:

続いて、白川さん、お願いいたします。

白川博一氏:

「結婚、出産、子育て、教育のしやすい壱岐島を目指して」というご質問でございますけども、本年3月に令和2年度から5年間を計画期間として、第2期壱岐市子ども子育て支援事業計画を策定いたしております。この計画では、ファミリーサポートセンター事業、病児・病後児保育事業、放課後児童クラブ事業等、包括的な支援事業の一層の充実を図ることといたしております。

壱岐市の合計特殊出生率、お一人の女性が一生に出産なさる子どもの数でございますけれども、2.22と全国水準の1.45を大きく上回っていますので、子どもを産み育てやすい環境であると思っていますけれども、最近では出生数そのものが減少しているというのも事実でございます。やはり子どもの数を増やすには、結婚される方を増やすことが大事だと考えておりまして、婚活事業に力を入れてまいりました。

過去には、テレビ番組の「もてもてナインティナイン」等、大々的なイベントも行いましたけれども、今年度で7回目となる「イキイキお結び大作戦」、これを主に行っているところであります。

また、平成27年度から結婚のお世話をしていただく、いわば仲人の壱岐市結婚応縁隊制度を創設しておりまして、これまで7組の実績があっております。さらに令和元年度からは、婚姻に伴う新生活にかかる家賃や引っ越し費用に補助も致しております。

妊活につきましては、平成29年度から特定不妊治療に対して、事業を開始しましたが、これは長崎県の特定不妊治療支援事業の上乗せとして実施をしていたしております。一回の治療に10万円を限度として、これまで20人、延べ数43人の方へ助成をいたしました。また、今年度から、壱岐市子育て世代包括支援センターを開設し、助産師を中心に妊活期や妊娠期のきめ細やかな相談、支援を充実することといたしております。

幼児教育、保育においては、有資格者である幼稚園教諭や保育士の人材確保に努力すると共に、幼稚園や保育所の統廃合なども視野に、認定こども園を整備し、待機児童ゼロはもちろんのこと、幼児教育、保育の量の確保と質の向上を目指してまいります。

司会:

続いて、人口減少対策の最後のテーマ。交流人口拡大についてなんですが、交流拡大を狙った PRの主軸です。これまで主体の福岡なのか、もしくは、この度、事務所を新設された東京なのか、どのようなお考えでしょうか。白川さんの方からお願いいたします。

白川博一氏:

壱岐市にとりまして、福岡市は観光客誘客のみならず、市民生活にも密接な関係のある最重要な都市であることに変わりはございません。これまで福岡事務所が担っていた業務については、4月以降、観光課において、観光連盟、商工振興課、ふるさと商社との連携による効果的な情報発信をしていくことで、これまで以上の成果を達成できるよう積極的な取り組みを展開してまいります。

これまで壱岐市は、平成16年8月の長崎県福岡事務所への職員派遣を皮切りに、平成23年度に福岡事務所を開設。29年度には、博多駅前へ福岡事務所を移転し、島外での活動範囲を広げてまいりました。その積み重ねの結果、さらに活動範囲を広める目的で、この度、ようやく首都圏で事業展開できる東京事務所開設の運びとなった所でございます。

SNS 等での情報発信はもちろんのこと、全国の情報が集まる東京で、足を使って活動することは、全国に情報発信ができるということであり、東京事務所の開設意義は非常に大きいと考えております。福岡での情報発信を継続しつつ、東京での活動の幅を年々広げ、交流人口拡大を狙ったPRに努めてまいります。

現時点で、東京に事務所を構えております市の数は74市ありますが、既に東京事務所長会のお誘いを受けております。この東京事務所長会では、年間4回の定例会の折、地方創生や時事に関する講演が行われると共に、まちづくりの先進地研修などが実施されております。

全国75市の東京事務所長との情報交換を通じて、東京における活動の手段やそれぞれの市の振興策を学ぶこと、それぞれの市に壱岐の情報を発信をすることは壱岐の知名度を上げ、今後の振興につながるは間違いないと思っておりますし、壱岐市にとって新しい世界が開けると信じているところであります。

森しゅんすけ氏:

まず、交流人口を増やしていくのは福岡を中心に考えています。壱岐の人間が日常的に足を運ぶ場所なので、人と人とのつながりが生まれやすいからです。福岡へは子どものスポーツ遠征も多く行われていて、実は壱岐にかなりの経済効果を生んでいます。島外に遠征することで、福岡のチームと交流が生まれ、サッカーや野球の大会を壱岐で開催することに成功しているからです。

2泊3日で200人規模のイベントも実際に開催されており、宿泊に繋がる交流人口拡大は費用対効果も見えやすいので、今後は行政としてもサポートしていきたいと考えています。また、福岡で交流人口増やしていくのと同時に、壱岐市の全国的な知名度を上げていく取り組みが絶対に必要です。どこか旅行に行こうと思った時、皆さんもそうだと思いますが、知らない所には行きませんし、物を買うにしても知らない物は買いません。

まず、壱岐市という街を、その魅力を、一人でも多くの人に知ってもらうことが大切です。残念ながら、今、現在の壱岐市の知名度は高くありませんが、だからこそ大きな伸びしろがあると感じています。私が移住してからこの3年の間に、東京から私の知人、友人や仕事の関係者が100人以上来てくれています。今まで壱岐の事を知らなかったけど、森が引っ越したから遊びに行ってみよう、福岡まで行くからついでに寄ってみようと壱岐まで来てくれています。

すでに、3回、4回と来てくれたリピーターもいますし、30人規模でツアーを組んで来てくれた友達もいます。壱岐は一度来てくれると好きになってもらえる魅力的な街です。では、どうやって壱岐市を知ってもらうのか。広告、PRに伝える予算は限られています。先ほど白川市長が足を使って東京で壱岐の知名度を上げる、誘客をしていくという話をされましたが、そこは知恵を絞って、私の得意分野であるインターネットを使ったPR を考えています。

壱岐市で生まれ育った方は、それが当たり前に存在しているため、壱岐の持つ様々な魅力に気づいていない場合が多いと感じています。島外の人達にとって、何が魅力的で、壱岐に行ってみたいと思わせることができるのか、私自身が島外に住んでいたからこそよくわかっています。

これまでも、アイドル事務所のオーディション合宿ライブの開催で、1,000人規模の集客をしたり、ホリエモンこと堀江貴文さんを呼んでのイベントを成功させてきましたが、他にもたくさんのアイデアを持っていますので、ぜひ、ご期待ください。必ず結果を出します。

司会:

続いて、テーマ2に移りたいと思います。テーマ2は、水産資源の維持についてです。漁獲量の低減は、漁業者の方はだけではなく、関連する卸売業、小売業、観光業にも大きな影響が出ています。

県主体の事業が多いとは思いますが、他の離島地区に先駆けた取り組みが壱岐市で始められないか。私たちはそこを期待する所なのですが、今後の取り組みについてどのようにお考えでしょうか。森さんからお願いします 。

森しゅんすけ氏:

私も妻も壱岐の魚が大好きです。壱岐に来て、初めての冬はあまりのブリの美味しさにご飯を食べ過ぎて、20キロ太りました。壱岐で生まれた娘にも、これからたくさん壱岐の魚を食べて大きくなって欲しいと考えています。そのためにも、水産資源や漁業への支援はとても大切だと考えています。

漁師の皆さんからは、磯焼けの被害がひどいという話をよく耳にします。磯焼けによって、壱岐の浅瀬からはワカメ等の海草類が減少し、それを餌としていたアワビやサザエが獲れなくなり、漁業に大きな影響が出ています。私は漁獲量低下の根本的な原因である磯焼け問題に取り組みたいと思っています。

磯焼け対策としては、具体的に次の三つに取り組みます。一つ目は、ガンガゼウニの駆除。二つ目は、イスズミ対策。三つ目は、海藻を増やす取り組みです。

一つ目のガンガゼウニの駆除については、過去に補助事業で漁師さん達が3年間ガンガゼの駆除に取り組んだところ、ガンガゼの減少、藻場の回復が確認できたそうです。現在はこの補助制度が打ち切りになっているので、再度取り組むことによってガンガゼウニの駆除に努めます。

二つ目のイスズミ対策については、浅瀬で群れる習性を利用した罠の導入を検討しています。また、対馬まではイスズミのメンチカツなど、独特の臭みを持つイスズミの食用加工に力を入れています。そうしたイスズミの食用魚としての調理方法の研究と食用加工をサポートしていきます。

三つ目、海藻を増やす取り組みでは、壱岐焼酎の焼酎粕の利用を検討します。焼酎粕は海草やプランクトンの餌となっていましたが、規制が厳しくなり、焼酎粕を海洋投棄できなくなりました。それが磯焼けの原因の一つとも言われています。壱岐の名産である壱岐焼酎を活かして、海藻を増やすことに努め、壱岐の漁業を盛り上げます。

こうした取り組みはやりっぱなしでは意味がありません。定期的に効果を測定し、改善していきます。また、現場の漁師さんから今まで声を聞かせて頂いてきた中で、偉い人達だけで物事を決めていくのではなく、現場で海に出ている自分たちの声を聞きながら、取り組みを決めて行って欲しいという声を聞いてきました。漁師さんたちの声を直接聞かせて頂きながら、漁業の問題について取り組んでいきたいと考えています。

司会:

続いて、白川さんお願いいたします。

白川博一氏:

壱岐市は第一産業の島であります。昨今の漁業の不振は、壱岐市の大きな危機だと思っています。特に、クロマグロの資源回復のための漁獲抑制や、全国的なスルメイカの不漁、磯焼けによる藻場の消失など、漁家の経営に深刻な影響を与えております。

このような状況の中にあって、国、県の振興施策と併せて、認定漁業者支援事業や漁業用燃油高騰対策など、市独自の事業により、水産振興につなげてまいりました。現在、壱岐海域周辺は、高水温によるアラメ、カジメの衰退、イスズミ、ガンガゼ等の食害、台風による藻場の破壊等により、磯焼けが進んでおりますが、藻場の回復なしに水産振興はないと考えております。藻場の早期回復に漁業者の皆様を始め、漁協関係機関と連携協力し、早急に取り組みを進めてまいります。

磯焼け対策の新たな取り組みとしましては、令和元年からイスズミ駆除を進めてまいりましたが、今年度からより更なる藻場の早期回復を図るため、イスズミ食害対策用のしきり網の設置に支援を行うことといたしております。

また、ウニについても、藻がないから身が入っていない、身が入っていないから獲らない。獲らないから、ウニが増えすぎて、根こそぎ藻を食べるという悪循環になっておりますので、ウニの駆除も必要ですし、新たな磯焼け対策や陸上養殖についても研究をしなれければならないと考えております。

また、放流事業も重要であります。これまで年11,000尾あまりの放流を続けてまいりました。クエにつきましては、イカを始めとする他の魚種が伸び悩む中にあって、今年は豊漁であったとお聞きをいたしております。磯根つきの高級魚としての放流効果があらわれておりますので、クエの放流を増やす等の対策も必要と思っておりますし、その放流事業に積極的に勤めてまいりたいと思っております。

司会:

次のテーマに移りたいと思います。テーマ3は、まちづくり協議会についてです。SDGs未来都市の認定を受けて、地域の新たな自治組織をまちづくり協議会として、準備、計画、発足されているところですが、地域によって進捗に差があるようにも思えます。

この設置の狙いや期待されること、また、市政との今後の連携についてどのようにお考えでしょうか。森さん、よろしくお願いいたします。

森しゅんすけ氏:

まず、SDGs、まちづくり協議会。この言葉を聞いて、何のことかわからない人がほとんどなのではないでしょうか。これはとても大きな問題だと考えています。何をしているのかわからないのに、良い結果が出ることはあり得ないからです。SDGsには、誰一人取り残さないという理念が掲げられています。それを達成するために、経済成長、社会的包摂、環境保護を同時に進めていくことが求められています。

壱岐市で言うと、壱岐の豊かな自然を守りながら、全体の経済を成長させ、社会的に弱い立場にある人々も含めて、市民一人一人を孤独や孤立から援護していくということです。まちづくり協議会が何なのかと言うと、小学校区で地域を分け、その地域の住民が自らの手で自分たちの地を良くするため、それぞれの課題を解決したり、それぞれの長所、観光地などを整備発信したりできる。それに予算もつくというものです。

理念は素晴らしいものだと思いますが、言うのは簡単、やるのは難しいというのが現状かなと思っています。壱岐市は人口規模が小さいからこそ、行政と市民の距離をもっと近づけることができると思っています。

住民の皆さんに対して、なぜこの事業をやっているのか、どんな良い点があるのか、なぜ住民の参加が必要なのか、といった点をしっかりとご説明して、共有していくことから改善していきたいと考えています。また、一人よがりにならないよう市民との定期的な対話会を実施したいと考えています。

これまでの政治活動でも、各地域で意見交換会を実施してきました。その中で皆さんからたくさんのご意見をいただきました。市民の声をきちんと市政に活かすため、まちづくり協議会とも連携しながら、各地域での定期的な対話会を開催して、直接、市民の皆様の声を聞かせていただきたいと考えています。

司会:

続いて、白川さんお願いいたします。

白川博一氏:

SDGsは「持続可能な開発目標」と訳されておりますけれども、平たく言えば、地球の、日本の、壱岐の環境を今のまま維持して、いつまでも住めるように守っていきましょうということになります。17の目標がありますが、身近なことからみんなで取り組むことが求められます。

例えば、14番目の「海の豊かさを守ろう」という目標に対しては、今、問題になっているマイクロプラスチックをなくすために、エコバックの活用が大きな力になりますし、17番目の「パートナーシップで目標を達成しよう」というのが、まさしくまちづくり協議会であります。

住民が皆様が力を合わせて、それぞれの地域の課題に向き合い、解決し、地域の特色を活かましたまちづくりを進め、明るい地域づくりを目指すため、壱岐市では小学校区を単位とするまちづくり協議会の設立を推進している所であります。

初年度の昨年度は、三島、瀬戸、箱崎地域において、協議会が設立されました。この4月には、筒城と霞翠が設立されますが、その他に7つの地域におきまして、設立に向けた準備が進行中です。近いうちに、全18校区中、12地域において協議会が設立されるものと思っております。設立準備委員会、幹事会が設立されてない地域につきましては、地域担当職員が自治公民館長さんも始め、各種組織、団体皆様への説明会を実施している所でございます。

地域の実情に応じて、設立の必要性など十分な理解をいただきながら、まちづくり協議会設立に向けた取り組みを進めて頂きたいと考えております。このまちづくり協議会に対して、壱岐市では、人、場所、資金の三つの視点から力強い支援を行っております。

持続可能なまちづくりを進める上で、まちづくり協議会の活動は災害時の対応を含め、不可欠であり、今後も市民一人一人が安心して暮らしやすいと感じる魅力あるまちづくりの実現に向け、取り組みを進めてまいりますので、市民皆様のご理解とご協力をよろしくお願いをいたします。

司会:

こちらから提示いたしました最後のテーマ4は災害対応、防災対応についてです。気象に関する特別警報が頻発に発生しておりますが、ここ数年は毎年のように壱岐市内でも被害が出ております。

一方で干ばつの際には貯水量の不足の問題も発生する場合もありまして、多面的な対応が必要になっていると感じています。このような中で、災害対応、防災についてどのようなお考えでしょうか。白川さん、お願いいたします。

白川博一氏:

平成29年は5月から6月にかけて、ほぼ雨が降らず、灌漑応急対策をしておりましたけれども、突如、6月29日、30日、及び、7月6日に時間最大雨量119ミリ、連続雨量468ミリという50年に一度の豪雨に見舞われ、1,500ヶ所を超える災害が発生しました。

また、令和元年8月にも連続雨量411ミリという豪雨がありました。これは今までに経験したことのない線状降水帯という同じ箇所に雨が降りつつける現象によります。このような異常気象に対処するため、市といたしましては、防災は行政の最大の責任であることを防災対策の柱として取り組んでおります。

防災の基本は、まず自助。自分の身は自分で守る、自分のできる範囲で守るということであります。次に、共助です。近隣のお互いが情報を共有しながら、助け合う。これについては地域の実情に詳しい自治公民館自主防災組織が大きな力となります。現在、自主防災組織は94.5%の組織率ですから、これを100%に引き上げ、まちづくり協議会と連携し、地域防災力を高めたいと考えております。

次に公助。公による対応です。本市では、防災マニュアルや各種ハザードマップの各戸配布、出前講座での防災講話等による啓発活動を通して、避難場所の確認は元より、市民一人一人の防災意識と防災知識の向上を図っております。

国においても、東日本大震災を教訓として、大規模自然災害時に人命、経済、社会への被害を最小限にとどめ、さらに迅速に回復させる強さとしなやかさを備えた国づくりを行うとして、国土強靭化基本法を制定しております。

本市では、この法律の趣旨に沿った施策を総合的かつ計画的に推進するため、この3月に壱岐市国土強靭化地域計画を策定いたしました。今後、この計画に基づき、ソフト対策とハード対策を両輪として、さらなる防災、減災対策を推進してまいります。もちろん消防団、上部消防との連携は言うまでもございません。

司会:

続いて、森さんお願いいたします。

森しゅんすけ氏:

行政の最大の使命は市民の皆さんと市民の皆さんの命と財産を守ることです。では、どうやって守っていくのか。まず、災害の中には防げる災害と防げない災害があります。防げる災害は、例えば、土砂災害です。土砂災害の可能性がある地域は警戒区域に指定されます。他にも大雨、台風、高潮などがあります。これらについては事前に対策を立てることができます。

これまでの市政で問題なのは、住民の命を軽視していると思われる事例があることです。例えば、土砂災害警戒区域の中に、芦辺中学校を作ろうとした事例がありました。市が進めようとして、反対の声が強くなり、住民説明会をしたがさらに反対意見が出て、そこでようやく芦辺中学校の父兄にアンケートを取ったところ、9割が反対というものでした。どうして土砂災害警戒区域という危険な所にわざわざ中学校作るのか全く理解できません。

私は、このように市民の命を危険にさらすような政策は絶対に行わないことをお約束します。次に高潮ですが、温暖化で海水面が上がってきている中で、どこで冠水が起きるのか、これは既に発生する箇所はわかっておりますので、防潮堤などを作って対応していきます。こういった防げる災害については、市としてやるべきことをきっちりと行っていきます。

もう一つ災害の中には事前には防げないものもあります。例えば、今まさに世界中で起きている新型コロナウイルスの感染拡大です。こうした防げない災害については、何よりも危機感を持ち、最悪の事態を想定して対応しなければなりません。市が情報を隠蔽するようなことがあれば、市民の命を危険にさらすことになります。包み隠さず、正確な情報をいち早く市民に届ける情報公開の徹底が必要です。

また、喫緊の課題として交通ビルの問題があります。既に崩落も始まっており、危険な状況であるため、すぐに安全対策を行います。同時に現状を正しく把握して、市民の皆さんに情報を公開します。その上で一日も早い問題解決に向けて責任をもって取り組みます。

司会:

これで第一部の実行委員会より提示したテーマへの答弁は終了です。お二方共、設定した時間内に答弁頂きましてありがとうございました。


【壱岐市長選挙及び壱岐市議会議員補欠選挙】

告 示 日 令和2年4月5日(日曜日)
投 票 日 令和2年4月12日(日曜日)
投票時間 午前7時から午後6時(ただし、三島地区は午後4時まで)
投 票 所 壱岐市内30か所(投票所入場券に記載)

【期日前投票】

投票期間 令和2年4月6日(月曜日)~令和2年4月11日(土曜日)
投票時間 午前8時30分~午後8時まで
投票場所 壱岐市役所郷ノ浦庁舎・勝本庁舎・芦辺庁舎・石田庁舎
必要なもの 投票所入場券ハガキ(お住まいの町に関係なく、市内のどちらの期日前投票所でも投票することができます。)

※感染症対策として、投票所は入口に消毒液の設置、鉛筆は消毒したものを使用。(使用後に回収し、消毒)
※自分で鉛筆などの持参は可能とのこと。(ボールペンやマジックは不可)
※混み合う時はお待ちいただく場合があるとのこと。

選挙について、詳しくは壱岐市HPをご覧ください。